片岡嶋之亟、私の生い立ち 第9回



 <世界遺産大雲寺竜安寺>

 子供の頃、龍安寺は龍の描かれた襖絵などが立派だなと思っていましたが、細川勝元が創建し、豊臣秀吉が愛で、水戸光圀が訪れた由緒ある寺院だということはずっと知らないでいました。まして後年、世界遺産というものに指定され、外国の観光客が大挙して訪れることになろうとは・・・。最近『龍安寺石庭の謎・スペースガーデン』(明石散人著)という本を読みました。史実として公認されていることの上に明石氏独特の推理がパワフルに進められ、大変充実感のある読み物でしたが、謎は深まるばかりで改めて龍安寺への関心が深まりました。龍安寺石庭にある十五個の石の配置にまつわる推論が、史実を踏まえながら大胆に推し進められています。先に紹介したドラマ「石の庭」の小太郎と末二郎の名前も出てきます。私は興奮しながら一気に読んでしまいました。謎解きのスリルを堪能できる本なので、ここで詳細をお話することは控えさせていただきますが、興味のある方には是非ご一読をお勧めいたします。
 私の子供の頃も禅を愛好する外国人は少なくなく、青い眼の異人さんの姿を、龍安寺境内でたまに見ることは有りましたが、近所の悪がきの私たちには石庭の砂の所まで裸足で降りても何が素晴らしいのだかちっとも判りませんでした。庭の感想としてはただ白砂や苔が綺麗だなと思ったことぐらいです。それよりもご住職から頂くお菓子の方が有難く、境内の木々や池のところでのびのびと遊べるので、子供にとって楽しく、とても居心地のいい場所でした。



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